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石川文康『カント入門』 第三章メモ2

 
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 第一アンチノミーのテーマ
→絶対的全体としての世界が空間的・時間的に有限であるか無限であるか?
 絶対的全体それ自体は空間的・時間的な量をもたないため、有限・無限であるとはいえない。アンチノミーの両テーゼは偽である。
 矛盾(矛盾的対立)…対立しあう二つの命題の一方のみが真で、もう一方は偽である場合のことを言う。
 第一アンチノミーは対立しあう両命題が偽であるため、反対対立であり、矛盾対立をなしていない。その意味で仮象矛盾をなしているだけであり、弁証的対立と呼ばれる。
 「四角い円はまるい」「四角い円はまるくない」という命題は互いに対立しあっているが、どちらも明らかに偽である。ここからわかることは、両命題の共通の主語概念が不合理をはらんでいるということ。第一アンチノミーの場合もこういえる。つまり、テーゼ・アンチテーゼに共通な前提が不合理をはらんでいるということ。
 不合理な前提とは、空間・時間は世界のありのままの姿を映し出している、という点にある。これは不合理であるから、空間・時間は世界全体の客観的条件でないことがわかる。
 このようなアンチノミーの解決を通して、カントは空間と時間が主観の性質であって物それ自体の性質ではないことを間接的に証明した(=超越論的観念論)。
 因果律は、二つの現象の時間的前後関係として時間軸の上にのみ成り立つ。ゆえに、絶対的全体としての世界は時間をもたないため、因果律は成り立たない。
 カントの発見…既成のものの見方を打破し、そこに潜む先入観を見抜き、対立を超えて新たにして第三の価値を見いだすこと
 空間と時間の支配する領域=現象 これのみがわれわれにとって有意味な認識の領域にほかならない。
 空間と時間のおよばない存在領域=物自体 物のありのままの姿
現象=現象界=感性界/物自体=可想体=英知界

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