人文科学系、主に哲学の専門用語の解説を中心とした雑記集

2024年精読本の読書感想|人間塾課題本

 
この記事を書いている人 - WRITER -
哲学エヴァンジェリスト。 東洋哲学や西洋哲学問わず、面白い哲学をあなたにお伝えします。
詳しいプロフィールはこちら


どうもさとやんです。

 

今日は大晦日。年次のおわりに今年読んだ人間塾課題本の感想を述べます。




1月『真理は現実のただ中にあり』
森信三 致知出版社

森信三先生が
現実生活のなかから得た生きる上での
真理を語った講演録を
複数あつめて収録したもの。
朝のあいさつをはっきり大きな声で気持ちよく行うこと、
姿勢を正しく過ごすこと、
まずやらないといけないことから行うことが
人生の肥やしになると説いたところや、
読書は精神の食物であることを説いたところなどが
私の印象に残りました。
“真の革命とは、自分のできる範囲で、
自己のしなければならぬことをやりぬくこと”
と書いてあったのは、
非常に大事なことでしょう。
全体的に主体的に生きるための
指針を示してくれている良書です






2月『孫子』金谷治 岩波文庫




兵法の代表的な書物として知られる本。
全体を読んで非常時に生き残るための方策、指針を
意識して書かれている印象を受けました。
特に印象に残ったのが以下の引用分。
“兵者詭道也。
兵は詭道なり。”
戦争や軍事行動は敵の裏を書くことである
と言った意味です。
非常時には生き残るために様々な策を講じて、
戦争を乗り越えないといけないという考えが
ここに見えると私は感じます。
逆に言うと、平常時には必要以上に
兵や計といったものをめぐらすことを
しすぎないほうがいいとも読めます。




3月『笑い』アンリベルクソン 岩波文庫




日本のお笑いというよりかは、
より高尚な笑いについて書いてあるように感じました。
とはいえ、本書で指摘されていた
笑いは予想ができない言動があり、
そのギャップを認識する際に生まれるというのは
おそらく正しいかなと思います。
意表をつくには、適切なギャップを意識することが大事。




4月『思考の整理学』外山滋比古 ちくま文庫




大学生を中心に昔から読まれてきたとても良い本。
私自身も大学時代に読んだ覚えがあるが
今読んで印象的だったのが「知を寝かせる」という考え方。
知ったこと、気づいたことを一度忘れてあえて寝かせることが
必要なときにとても役立つといいます。
これはとても大事な視点で、
本を読んですぐに気づくことだけが大事じゃないのです。
即効性、有用性ばかりを気にせず、
読書をつづけたいと感じました。




5月『礼記』 下見隆雄 中国古典新書




儒教の五経の一つ。
礼というと堅苦しいものをイメージしてしまいますが、
実際はその礼を行うもとになった気持などを
考える必要があるように私は感じました。
大事なことを習慣化して忘れない社会性という点で
礼はとても大事な役割を過去において担ってきたし、
これからも一定程度必要なものでしょう。




6月『DEATH「死」とは何か 完全翻訳版』 
シェリー・ケーガン 文響社




死にまつわる常識を一度疑ってみて、
そうした常識を考える重要性を指摘してくれる本。
死をとらえなおす機会がないので、
一度読んでみて考えることが大事だと感じました、




7月『自警録』 新渡戸稲造 講談社学芸文庫




常識的な文章が多いですが、
新渡戸先生はそれをこころがけていただけではなく、
すべて実践しておられた。
これがすごいことだし、
人間的に生きるうえで
考えだけじゃなく、実践することが
非常に重要になってくることを教えてくれる本です。




8月『一百四十五箇条問答』 法然 ちくま学芸文庫




念仏の教えを広めた法然の著作。
法然の考えを知るうえでとても大事な本でしょう。
専修念仏の大原則を捨てること以外は細事にこだわらない
寛容性を法然は持っていたのです。
苦しみを取り除くという仏教の大原則を
なにより大事にしていたことがわかると思います。
平安末から鎌倉初の民衆の生活も苦しい時代に
何より民のことを考えた法然の思いに
ふれることができ、非常に感銘をうけました。




9月『兵法三十六計』 守屋洋 知的生きかた文庫




孫子でもふれた生き残る策としての兵法が
より洗練されて各状況とその対策が教示された兵法書。
卑怯だとか、汚いと言われる作戦も乗っているが、
まず国自身の生き残りを考えるうえでは
色んな場面や対策を考え抜かないといけないことを
考えさせられます。




10月『十八史略』 竹内弘行 講談社学術文庫




上古から宋代まで中国の歴史を
はじめて学ぶ人のために書かれた本。
日本では江戸期に広まったといわれていて、
中国本土より日本のほうがよく読まれたと考えられています。
中国の正史を全部目を通すだけでも大変時間がかかるうえに、
時代順にかかれているわけでもないので、
まず本書のような入門書が求められたのでしょう。
まず見ることがなかった神話時代の話が
割とのっていて、とても興味深く学ぶことができました。




11月『尾高惇忠』 荻野勝正 さきたま出版会




渋沢栄一の親族で学問上の師でもあった
尾高惇忠の業績が紹介されている本。
人間的な素晴らしさに加えて、
技術的なことに関心をもち、
日本初の官営工場である富岡製糸場を
レンガやセメントの材料がないなどのなか、
創意工夫で代用品をつくって建設したり、
治水工事をおこなったり、その活躍は素晴らしいものです。
もっと知られるべき人でしょう。




12月『日本の思想』 丸山真男 岩波新書




日本の思想の特徴をとらえた名著。
日本はそもそも外国の文化を受け入れる土壌があり、
一神教の基盤のうえに思想が展開される西洋などとは
思想の成り立ちから、立場、捉え方もすべて違うことがわかる。4
そのうえでわれわれが思想を展開するうえで
非常に大事な視点を掲示してくれる良書です。

この記事を書いている人 - WRITER -
哲学エヴァンジェリスト。 東洋哲学や西洋哲学問わず、面白い哲学をあなたにお伝えします。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© ニーチェマニア! , 2024 All Rights Reserved.